共有ビジョンとは、「我々は何を創造したいのか?」という問いに対する答えと言われています。
つまり、チームビジョンは、チームに浸透することで、様々な活動への結束をもたらす共同体意識を生み出し、集中力やエネルギーをもたらすため、クリエイティブなチームづくりにおいて、とても不可欠なものなのです。

外因的なビジョンと内因的なビジョン

ビジョンには、外因的なものと内因的なものがあります。
例えば、ペプシのビジョンは、当時コカコーラに勝つことでした。これは、外因的なビジョンです。しかし、敵に打ち勝つことに限定された目標は、一時的なもので、ひとたびビジョンが達成されると、「ナンバーワンの地位を失うまい」と防御体制に容易に移行してしまいます。そうした守勢の目標が、何か新た強いものを築く想像力や興奮を呼び起こすことはありません。

武道の達人の多くは、「あらゆる相手を打ち負かす」ことに集中するのではなく、むしろ「武術を極める」と言う自己の内的な基準に焦点を合わせています。これは内因的なビジョンです。

もちろんどちらかでなければならないと言うことではありません。ただ、てきを打ち負かすことだけに基づくビジョンに頼れば、長期的にはチームが弱体化することは、過去の歴史が証明しています。

「欲求の五段階説」で有名な心理学者のエイブラハム・マズローは、晩年、優れた成果をあげるチームの研究を行いましたが、最も際立った対象が、共有ビジョンと目的についてでした。その中でマズローは、内因的なビジョンが、メンバーの向上心を高めることを述べています。

これは、裏を返すと、メンバーが真に成し遂げたいと思う目標への牽引力がなければ、現状を支持する力の方が圧倒的になることを表しており、目標を高く置くことによって、新しいアイデアや新しい行動の方法が生まれることを意味していると言われています。

個人ビジョンから共有ビジョン へ

共有ビジョンは、個人のビジョンから生じます。まずは、個人のビジョンを奨励しましょう。
共有ビジョンを築くことに力を注ぐチームは、個人のビジョンを作り出すようメンバーをたえず励まします。自分自身のビジョンを持っていなければ、他の誰かのビジョンに「加入する」しかありません。その結果もたらせるのは、ビジョンへの服従であり、コミットメントではありません。自らの進むべき方向を強く共通認識として持っているメンバーは、自分たちが真に望むものに向かって結束し、力強い相乗作用を生み出します。

また、個人のビジョンを奨励するに時は、チームは、メンバーの自由を侵害しないよう気をつけましょう。他人にビジョンを作り上げるよう強いることはできませんが、個人のビジョンを促す気風を生み出すことはできます。ビジョンを認識しているリーダーは、他のメンバーがそのビジョンを共有する気になるように、伝えましょう。

ビジョン共有を促す方法

多くのリーダーは、他のメンバーをチームのビジョンに参加させ、コミットメントさせるために、自分にできることは一つもないと思われがちですが、サポートすることは可能です。

あなた自身が参加すること

自分が参加していないのに、他の人に参加を進めようとしても無駄です。これは参加を促すのではなく、「売りつける」ことと同じで、上部だけの同意や服従といった形を生むのがやっとです。将来の反感のタネをまくことになりかねません。まずは、自分が積極的にビジョンに参加しましょう。

正直であること

利点を誇張したり、問題の隠し立てをしてはいけません。ビジョンをできるだけ簡単に正直に説明しましょう。

他のメンバーに選択を許すこと

他のメンバーに、ビジョンの利点を「納得させる」必要はありません。事実、人を説得して「参加」させようと努力しても、巧みな操縦と受け取られますし、実際、参加を妨げます。逆にあなたが、快く人に自由に選択を許すようになればなるほど、その人は気分的に自由になります。重要なことは、自分なりにビジョンを認識するための時間であり、安全をつくり出すことが、1番の手助けになります。